古物商には様々な義務が課せられます。

この義務に違反すると、行政処分や罰則を受けることになりますが、重大な違反行為の場合、許可を取り消されることになります。

また、思わぬペナルティーを受けることにもつながってきますので、注意が必要です。

この記事では違反行為をした場合に受ける行政処分と罰則について解説していますので、ぜひ参考にしてください。

違反行為をするとどうなるの?

古物営業が許可制となっているのは、「盗難品の流通防止」と「盗難品の早期発見」です。

この二つの目的を果たすために古物商は防犯3大義務という義務を中心に様々な義務を負うことになります。

この義務に違反をしたり、「盗難品の流通防止」と「盗難品の早期発見」を妨げるような違反行為をすると行政処分罰則を受けることになります。

 

行政処分について

古物営業法の目的である「盗難品の流通防止」と「盗難品の早期発見」を妨げるような違反行為すると行政処分を受けることがあります。

行政処分は、

  • 指示処分
  • 営業停止処分(6カ月以内)
  • 許可の取消し処分

に分かれており、先ずは指示処分から下されることがほとんどです。指示処分は書面により行われますが、通常はその指示に従わなければ営業停止処分を受けることになり、それでも従わなければ許可の取消しとなります。

ただし、悪質な違反行為をしてしまうと、いきなり営業停止処分を受けたり、許可の取消しとなることがあります。

営業停止処分・・・「営業所に管理者を配置していない」、「不正品の申告義務違反」など

許可の取消し処分・・・「許可の不正取得」や「名義貸し」など

 

違反行為をすると行政処分を受けることになりますが、法律違反の種類や状況によっては罰則を受けてしまうこともあります。

 

罰則について

罰則とは、罰金刑と懲役刑のことです。

罰則の重い順に違反行為と罰則を以下にとりまとめました。

3年以下の懲役または100万円以下の罰金

・無許可営業

・名義貸し

・許可の不正取得

・営業停止命令違反

※これらの行為を行った場合、許可を取り消されることがあります。

個人名義と法人名義

個人名義で取得した許可で法人名義で営業をすると名義貸しとなるので注意が必要です。例えば、代表取締役が個人名義で取得した許可で、法人として古物営業を行う場合などです。

この場合、別に法人名義で許可を取る必要があります。

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

古物商の営業の制限違反

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

・古物市場での営業の制限違反

・確認義務違反

帳簿記録義務違反

帳簿保存義務違反

・帳簿棄損等届出義務違反

品触れの到達日記載義務及び保存違反

・品触れ該当品の申告義務違反

・差止め物品保管義務違反

・古物競りあっせん業者の競りの中止命令違反

20万円以下の罰金

・許可申請書等虚偽申請および届出

・競り売りの届出義務違反

10万円以下の罰金

変更届出義務違反または虚偽届出違反

・許可証返納義務違反

・許可証の携帯義務違反

行商従事者証携帯義務違反

標識の掲示義務違反

・立ち入り検査の拒否、妨害

5万円以下の過料

・許可者の死亡または法人が消滅した際の返納義務に違反

※過料とは軽微な義務違反に対して少額の金銭を徴収する罰則のことです

 

罰金刑で欠格要件に該当してしまう?

無許可営業、名義貸し、許可の不正取得、営業停止命令違反で罰金刑を受けてしまうと、欠格要件に該当してしまいます。

欠格要件に該当すると、許可は取り消されることになります。

また厄介なことに許可が取り消されてしまうと、取消の日から5年間は新たに許可は取得できません。

これは古物営業法の欠格要件に「許可を取り消されてから5年を経過しない者」とあるからです。

欠格要件についてはこちらの古物商許可|欠格要件に該当する8つのケースを解説を一読ください。

 

違反行為以外の許可の取消しパターン

古物商許可が取り消しになるのは、違反行為をした場合、つまり、「古物営業法に違反をする」、「欠格要件に該当する」、「営業停止処分に従わなかった」という場合ですが、他にも以下の場合でも許可は取り消されます。

  • 古物営業の実態が6ヶ月以上ないとき
  • 古物商の所在が分からないとき

1つずつ見ていきましょう。

古物営業の実態が6ヶ月以上ないとき

「営業を6ヶ月以上休止」すると許可を取り消される場合があります。

このようなことから「許可を取ってから半年後に開業する」というようなことはできません。

古物商の所在が分からないとき

古物商の所在が分からなくなった場合は、公安委員会が官報でその旨を広告します。

30日経っても古物商から申し出がなければ、許可が取り消されます。

これを簡易取消し制度といいます。

※官報とは、国が発行する新聞のようなものです。インターネットで無料で閲覧できます。

 

まとめ

いかがでしたか?

無許可営業、名義貸し、許可の不正取得、営業停止命令違反の4つが最も罰が重く、許可を取り消される可能性があることは解説したとおりです。

「この4つの義務違反以外なら行政処分や罰則を受けても大して問題にならないだろう」と考える人はあまりいないと思いますが、上記4つ以外でも違反行為を頻繁に繰り返したり、改善の余地がないと判断されると許可を取り消されることがあります。

前述のとおり、許可を取り消されると5年間は新たに許可を取得できず、こうなると元も子もないので、やはりルールはしっかり守るようにしてください。