古物商許可の取得を行政書士に依頼をするメリットがあるかどうかは各自の置かれている状況によって異なってきます。

例えば、平日に仕事などがあり、時間が取れない人にとっては行政書士に依頼をする価値は十分にあるでしょうし、反対に時間があり余っていたり、出費をできるだけ避けたいというような人からすればお金を使ってまで依頼をするのは馬鹿らしく思えるかもしれません。

また、「許可が取れるかどうか微妙だ」、「今すぐ許可を取らなければいけない」というような切羽詰まった状況にあれば行政書士は心強い存在となるのではないでしょうか。

この記事では、行政書士に依頼をするメリットを様々な観点から解説していますので、ご自身の状況に合わせてメリットがあるのかどうかよく検討しながら読み進めてください。

 

手間と時間が省ける

古物商許可申請を行政書士に依頼をする一番のメリットは、やはり手間と時間が大きく省けることです。

古物商許可を取得するには、要件を満たしていなくてはなりません。また、多くの書類が必要になります。

要件を満たせているかどうか、必要な書類が何なのかこれらを確認するだけでも案外手間がかかるものです。

※要件や必要書類など古物商許可の取得手順はこちらの古物商許可とは?|初心者でも3分で理解できる全体像で詳しく解説しています。

行政書士に依頼をすれば、「要件」や「必要書類」は迅速に調査してくれます。

 

また、古物商許可を取得するには、書類を作成・収集し、申請することが必要ですが、概ね後述する以下の問題にもぶち当たります。

  • 申請と書類集めは平日しかできない
  • 申請書類の不備で何度も警察署を往復してしまう

 

申請と書類集めは平日しかできない

申請先である警察署の窓口は、平日しか受け付けてもらえません。

また、必要書類の多くは役所から取り寄せることになりますが、こちらも平日しか対応してくれません。

平日会社勤め等がある人は、なかなかその時間を取るのは難しいのではないでしょうか。

行政書士に依頼をすると、申請はもちろん、公的な書類を役所から集めてもらうこともできます。

 

申請書類の不備で何度も警察署を往復してしまう

古物商許可申請をするには、申請前に警察署での事前相談が必ず必要です。

都道府県公安委員会のホームページに公開されている必要書類等は最低限に留められており、営業内容によっては追加で書類が必要になるなど必要書類が異なってくることがあるからです。

しかしながら、初めての場合はこの事前相談で、営業内容を正確に伝えることができずに、警察署から正確な必要書類を聞き出すことができなかったということが少なくありません。

そのために申請書類の不備で何度も警察署を往復してしまうということがよくあります。

古物商許可申請の審査期間は40日ですが、この審査は書類等に不備があれば開始されません。審査が開始されるのは、不備のない書類が提出されてからです。

この点、行政書士に依頼をすれば、事前相談はもちろん、必要書類も正確に集めてくれますので、最短で許可の取得ができるでしょう。

 

その他のメリット

行政書士に依頼をすれば、各自の置かれている状況によって、あるいは依頼をする行政書士のサービスによって前述のメリットの他にも様々なメリットを受けることができます。

行政書士のサービスは何も書類作成の代行だけではありません。例えば法律に基づいたコンサルタントも可能です。

その他のメリットとして主に次のものがあります。

  • 様々な法律相談を受けることができる
  • 許可取得の可能性が高まる
  • アフターサポートがある
  • 古物市場リストなどの特典がついてくる

 

様々な法律相談を受けることができる

行政書士は法律家です。行政書士によっては古物営業法はもちろん関連法令(ex.廃棄物処理法)の法律相談も可能です。

また、会社設立や融資などその他様々な相談ができることもあります。

例えば、事業の規模によっては融資を受けるという人もいるかと思いますが、事業計画書の作成など創業融資のサポートサービスやコンサルティングを行っている行政書士もいます。

※融資についてはこちらの古物商許可|融資を受ける方法と重要なポイント で解説していますのでご興味のある方は一読ください。

 

許可取得の可能性が高まる

許可を取るのは厳しいかもしれないというケースでも、本人が思い込んでいるだけで、解決できることも少なくありません。(絶対に取れないケースももちろんありますが)

行政書士は経験値として様々な知識が蓄積されています。手引き通りの提案ではなく、あなたが思いもつかないような提案をするのが許認可のスペシャリストである行政書士です。

また、無理だと思っていても警察署との交渉次第で申請が受理されたというケースも少なくありません。

「許可が取れないかもしれない」という人にとって行政書士は心強い存在になるのではないでしょうか。

 

アフターサポートがある

行政書士事務所によっては、許可取得後に必要となる変更届の割引サービスを実施してくれることもあるようです。

また、これはレアなケースかもしれませんが、行政書士によっては顧問についてもらうということも可能です。

例えば、中古車やブランドの買取は売上が髙く、警察の監視や立ち入り検査が多くなるので、顧問契約として古物営業法のコンサルタントや帳簿の作成を引き受けてくれる行政書士もいます。

 

古物市場リストなどの特典がついてくる

行政書士事務所によって、全国の古物市場リストや許可取得後の義務をマニュアル化したレポート、古物台帳のデータ様式などの特典がついてきます。

行政書士によっては標識(テンプレート)も用意してくれることもあります。

 

サービスは細分化されている

行政書士事務所のサポートプランは、一般的には「書類の作成・収集プラン」と「丸投げプラン」の2つに分かれています。

 

書類の作成・収集プラン」は、書類の作成と書類集めは行政書士が代行し、出来上がった書類の提出については自分ですることになります。この場合は、全国対応となり行政書士との面談を必要とせずにネットだけで電話やメール、郵送のみで完結することがほとんどです。

丸投げプラン」は、書類の提出まですべて行政書士に代行してもらうプランです。

 

また、行政書士によっては書類の作成と書類集めを分けているプランもあります。1万円程度で書類作成のみを行政書士が行い、書類集めは自分でするといったものです。(集めた書類を最終的にチェックしてくれることもある)

 

またこの場合、オプションとして書類1枚あたり数千円で集めてくれる行政書士もいます。

ここで挙げた以外にも、行政書士によって様々なサービスがあるので、各自の置かれている状況に合わせて自分に合ったサービスを選ぶことが可能です。

支払う費用の相場は?

行政書士に依頼をした場合の相場は一概には言えませんが、強いて言えば、書類作成と書類集めの代行のみだと3~4万円前後、提出も含めた丸投げプランだと4~5万円前後ではないでしょうか。

ただし、2万円前後で引き受けてくれる行政書士も結構いるので、よく検討することが大事です。

 

返金保証付きがあるかどうか

万一許可が取得できなかったら、代行料金を全額返金してくれる行政書士事務所も少なくありません。

それだけ誠意をもって仕事を引き受けるということですので、安心してまかせることができるはずです。

行政書士を選ぶ際に返金保証サービスがあるかどうかは必須の条件です。

 

行政書士に依頼するデメリットは?

ここまで行政書士に依頼した場合のメリットについて見てきましたが、デメリットはどうでしょうか?

個人的には次の2つがあると考えています。

お金がかかる

行政書士に依頼をする最大のデメリットはやはりお金がかかることです。

行政書士に支払う報酬額は1万~5万円までとピンキリで、行政書士やそのサービス内容によっても異なってきます。

また、申請者と管理者が同一人でなければ、申請者の分とは別に管理者の書類も必要となり、通常は数千円の追加料金が発生しますし、法人の場合は、役員の数だけこの追加料金が上乗せされることが多いです。

 

ただし、前述のとおり、行政書士事務所によってサービスが細分化されていることもあるので、ご自身の状況に合わせてワンポイントだけのサービスで安く済ませることも可能です。

 

法律を勉強する機会を失う

許可を取るということは、許可制度を理解するとともに関係法令である古物営業法の大枠を理解することにつながります。

許可の取得を丸投げすると、許可制度や古物営業法の理解を阻害するおそれがあります。

許可取得後、様々な義務が課せられることになりますが、これを怠ると罰則を受けることにもなりかねません。

許可制度や古物営業法の理解はこのような許可取得後の義務や手続き上の失敗のリスクを減らすために必要です。

行政書士に依頼をするのは、あくまで手続きの時間と手間が省けるということですので、その場合は、自分で許可制度と古物営業法の勉強が必要です。

 

まとめ

いかがでしたか?

行政書士に依頼をするにしても最低限の許可制度の理解は必須ですし、時間に余裕があるというのであれば、やはり自分でするのが一番だと思います。

ただし、「時間」を金と捉えれば、行政書士に依頼をするのも1つですし、この記事で解説したとおり各自の状況によっては大きなメリットを享受できます。

また、行政書士に依頼をする場合の注意点として、「提示されている料金以外にも追加で料金が発生しないか」、「手続きはすぐに始めてくれるか」、「返金保証はあるか」などこの辺はやはり慎重に検討した方がいいでしょう。