古物商許可申請をするには必ず管理者を選任しなければなりません。

しかし、管理者と聞いて最初にぶつかる疑問は次のようなことではないでしょうか?

  • 管理者の役割は?
  • 管理者になるための条件は?
  • 複数の店舗がある場合は?
  • 申請人が管理者を兼ねることはできるか?

この記事ではこのような疑問はもちろん、気をつけたいポイントまで詳しく解説しますのでぜひ参考にしてください。

管理者とは?

管理者とは、営業所での古物取引を適性に実施するための責任者としての役割を持つ人のことです。

また、古物営業法は盗難品の流通防止と盗難品の早期発見を目的に作られた法律です。

そのため、管理者は盗難品や不正品を見極めて、営業所を適切に管理、監督できるようにしなければなりません。

管理者は各営業所に1名配置しなければなりません。

 

管理者は誰がなれるの?

管理者の選任というと、別の誰かを雇い入れることを想像するかもしれませんが、管理者は申請人自身が兼ねることも可能です。

個人で申請する人は、別に管理者を選任する必要はありません。

ただし、店舗や営業所が複数ある場合はその店舗や営業所ごとに管理者を設置しなければなりません。

※同じ人が掛け持ちで他の営業所の管理者になることはできません。

また、別の人を選任するという場合は、店舗であれば店長、法人であれば役員や部長などそれ相応の地位の人がなるのが一般的です。

管理者は常勤できることが必要なので、県外に住んでいたり、通勤が2時間以上かかる場合は認められません。

また、複数の営業所が隣接しており、管理が容易になる場合は例外的に一人の管理者が複数の営業所の管理者を兼ねることが可能です。

同じ敷地内に複数の建物があったり、同じビルに複数の営業所があるなどそれぞれ別の古物商を営んでいる場合などです。

 

管理者の欠格要件

次のいずれかに該当する場合は管理者にはなれません。

  • 破産者で復権を得ない者
  • 禁固以上の刑、または特定の犯罪により罰金の刑に処せられ、5年を経過しない者
  • 住居の定まらない者
  • 古物営業の許可を取り消されてから、5年を経過しない者
  • 営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者
  • 暴力団員とその関係者、暴力的不法行為を常習的に行うおそれのある者
  • 心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者

これは普通に日常生活を送っていればすでにクリアできていることばかりですが、きちんと確認はしておきましょう。

※上記の欠格要件は申請者に対するものと全く同じです。

欠格要件についてはこちらの古物商許可|欠格要件に該当する8つのケースを解説で詳しく解説しています。

 

未成年者は管理者に絶対なれない

未成年者は注意が必要です。

申請者が未成年者の場合、管理者を兼務することはできません。

これは親等の法定代理人から営業することを同意された未成年者、婚姻をしている未成年者でも兼務することはできません。

未成年者の場合は必ず別に成年者を管理者として選任する必要があります。

 

管理者に必要とされる知識や経験は?

管理者になるには何か資格がいるわけでもなく、実務経験を証明しなければならないというわけでもありません。

これは古物商許可の条件(要件という)としては求められていないからです。

欠格要件にさえ該当しなければ、問題なく管理者になれます。

ただし、自動車・バイクや時計・宝飾品類は扱う場合は注意が必要です。

これらは、高額で取引されるため盗難品も流通しやすく、申請の際に窓口で業界知識について詳しく質問されがちなので、少なくともこれらの質問にすべて答えられるだけの人物が望ましいしょう。

 

自動車やバイクを扱う場合は努力義務が課せられる

自動車やバイクを扱う場合、管理者には一定の知識や経験を身につけるよう法律で推奨されています。

具体的に言えば、車体番号の偽造や不審な点を見抜けるだけの知識・経験が必要ですが、これらの業務に関して3年以上の経験があることが目安です。

ただし、これらの知識・経験はあくまで努力義務であって、必須の要件ではないので、必要以上に身構えることはありません。

 

扱う古物によっては高度な知識と経験が必要

管理者の能力不足で古物商許可が取れないということはほとんどありませんが、誰が管理者になってもいいというわけではありません。

極端に言えば、扱う古物が特殊で高額になるほど、高度な知識と経験が必須となるのは言うまでもありません。

例えば、宝石類や美術品などは独特の知識と鑑定眼が必要とされます。

それ相応の経験を積んでいなければ、買取り時の値段も踏めませんし、本物と偽物の区別もつきません。

こうなると許可を取得しても営業所の責任者として統括していくことはやはり難しいでしょう。

扱う古物によってはリスクも決して少なくないので、自信がなければ知識や業務経験が豊富な人を管理者として選任するのも1つです。

 

まとめ

いかがでしたか?

管理者は、欠格要件に該当せず、営業所から通勤圏内(2時間以内)に住んでいる人であれば誰でもなれます。

また、申請者自身が管理者を兼ねることも可能です。

ただし、自動車・バイクや時計・宝飾品類など扱う古物が特殊で高額になれば、それだけ高度な知識と経験が必要となります。

もし、盗難があった場合は警察の捜査に対応するのはやはり管理者となるので、自身が管理者を兼ねるにせよ、別の人を雇うにせよ、しっかりとした準備が必要です。