遺品整理業をトータルで行うにはいくつかの国から与えられる免許が必要になってきます。
古物商許可もその1つで、有価物といって市場的価値のある不用品を買い取る際に必要になります。
また、逆に廃棄物を運搬するには、一般廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
この記事では遺品整理業を開業しようとする人が必ず持っておきたい許可を中心にいくつかの注意点やポイントを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
なぜ古物商許可が必要か?
遺品整理業は遺族に代わって故人の遺品(家財道具や不用品)を整理、処分する仕事です。
単に遺品を整理したり、掃除をしたりするだけのサービスだと許認可は必要ありません。
しかし、依頼者側は骨董品や貴金属など価値のあるものがあれば、買い取ってもらいたいと思っています。
この場合、価値のあるもの=有価物を有料で買い取るには古物商許可が必要になってきます。
ただし、遺品を無償で譲り受けたり、手数料を取って回収して売却する場合は古物商許可は必要ありません。
一般廃棄物収集運搬業許可の取得は難しい
逆に、故人の遺品から出た廃棄物を回収して運搬するには一般廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
しかし、一般廃棄物収集運搬業許可の取得は非常に難しく、ほとんど許可されません。
これから、遺品整理業に参入する人は、遺品整理(分別や清掃)や遺品の買取りサービスをメインに行い、廃棄物の処理は他の一般廃棄物収集運搬業者に委託することになります。
産業廃棄物収集運搬業許可で遺品は処分できない
よく勘違されているのが、産業廃棄物収集運搬業許可で遺品の処分品を回収できるというものです。
ネットなどでも当たり前のように産廃許可で遺品を処分できるなどの情報が出回っていますが、これは間違いです。
一般家庭から生じた廃棄物を運搬するには前述のとおり、一般廃棄物収集運搬業許可が必要になります。
産業廃棄物収集運搬業許可とは事業活動に伴って生じた産業廃棄物を運搬する場合に必要になるものです。
遺品整理業の法整備は不十分
産廃許可で遺品の不用品を運搬している業者が少なからずいます。
もちろん、これは違法です。
遺品整理業はこれから需要が高まる中、遺品整理業に携わる一般廃棄物収集運搬業許可業者の数はまだまだ少ない傾向にあります。
それならば、一部自治体(北海道帯広市)がすでに行っているような遺品整理業限定の一般廃棄物収集運搬業許可がもっと増えてもいいような気がします。
また、無許可で一般廃棄物を運搬しても取り締まりを受けていない業者が少なからずいるのも現状ですので、わざわざ法律を守るのがバカバカしいという気持ちも分かります。
それに、許可を持っていない業者が法律に忠実に仕事をすればするほど、依頼者側にとっても負担がかかってきます。
それは、遺品整理業者とは別に運搬の許可を持っている業者と契約しなければならないからです。
新たに業者が介入するわけですから、その分、手間と手数料がかかります。
こうした矛盾が生じるのはやはり、遺品整理業が発展途上でまだまだ法整備が追いついていないからです。
遺品整理業界には悪徳業者が多いというイメージが強いですが、実際は大部分の業者が真面目に業務をこなしていますし、まだ発展途上である遺品整理業において違法行為が繰り返されると、遺品整理業の未来は決して明るくないと思います。
それでも、「うちは切羽詰まっているし、そんなことは言っていられない」と思う人もいるかもしれません。
私は決して自分のことを身綺麗な人間だとは思っていません。しかし、同時に法律家の端くれでもあります。そんな立場の私に言えることがあるなら、やはり事業は法律に乗っかって公平に行ってほしいと思います。
まとめ
遺族は遺品整理業者に単に分別や清掃だけでなく、搬出・処分までサービスをトータルで求めています。
これから参入する人は一般廃棄物収集運搬業許可の取得は難しいので、許可を持っている業者と連携体制を築くのは必須です。
また、骨董品や貴金属など有価物を買い取る際に必要になる古物商許可は欠格要件に該当しなければ、必ず取れます。
古物商許可は遺品整理業務の幅を広げるためにも必須ですので、ぜひ取得しておきたいところです。
また、遺品整理士という資格がありますが、これは民間資格ですので、なければいけないというものではありません。
しかし、遺品整理業はまだまだ未開発の仕事で、悪徳な業者が多いのも事実ですので、遺品整理士の資格を持っていると信頼の面でアピールポイントになると思います。