法人申請の場合は、「登記事項証明書」と「定款」の提出が必要になる。
この2つの書類は、適切なものが記載されていなければ申請は受理されない。
ここでは、「登記事項証明書」と「定款」を用意する際の注意点、取得方法について見ていく。
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登記事項証明書(法人)とは?
登記事項証明書(法人)は、会社の登記事項が記載された登記記録の写しのことで、法務局で取得できる公的書類だ。
会社の名称、代表者名、会社の住所、役員などについて会社に関する基本的な事項が記載されており、登記記録に記録された会社の基本情報を証明するための書面だ。
履歴事項全部証明書が必要
登記事項証明書(法人)とひと口に言ってもいくつか種類があって例えば、「代表者に関するもの」や「現在の登記事項のみが記載されたもの」など様々だ。
ここでは詳しい説明は避けるが、古物商許可申請において必要なのは履歴事項全部証明書というものだ。
この「履歴事項全部証明書」には、現在の登記事項に加えて、過去3年間に抹消された事項までが記載されている。
ちなみに、「履歴事項一部証明書」というものがあるが、必要なのは履歴事項全部証明書だ。間違えないようにしよう。
履歴事項全部証明書はどうやって取るの?
近くの法務局で取得できる。法務局は本局、支局、出張所どこでもOKだ。
ただし、法務局は平日しか開いていない。ちなみに手数料は600円だ。
また、郵送やインターネットからでも取得できる。
インターネットの場合は、登記・供託オンライン申請システムに登録することによって自宅からでも登記事項証明書を申請することができる。
ただし、受付は午前8時30分から午後9時までしかできない。手数料は法務局で受け取る場合は480円、自宅などで郵送で受け取る場合は500円だ。
インターネットでの請求についてはこちらでも解説されている。
履歴事項全部証明書を取得する際の注意点
登記事項全部証明書を取得する際は、次の3つの点に注意する必要がある。
- 発行から3ケ月以内のものが必要
→ 取得した日から3カ月を過ぎたものは使用できないので、注意しよう。
- 変更登記の手続きは行っているか?
→ 会社名や役員、住所など会社の情報に関して変更があれば法務局で変更登記をする必要がある。この変更登記をしていなければ、登記事項全部証明書は過去の内容となってしまう。
過去の内容のものは、受理されないことがあるので注意が必要だ。
- 事業目的に「古物商に関する記載」はあるか?
→ 登記事項全部証明書には事業目的の項目があり、そこが「古物営業法に基づく古物商」や「中古車自動車の買い取りおよび販売」など古物商に関する記載が必要となる。
この記載がなければ変更登記が必要だが、事業目的については確認書という書類を提出すれば、申請が受理された後に変更登記をしても構わない。
履歴事項全部証明書のサンプル
登記事項全部証明書でよく見落としがちなところをサンプルで確かめておこう。
※クリックすると拡大表示されます。
①会社の住所は変わっていないか?
②事業目的には古物商に関する記載はされているか?
③役員が入れ替わっていないか?
④ここは意外と見落としがちだ。
代表者が引越をしていたということも少なくない。
しっかり確認しよう。
定款の写しを用意する
会社設立時に作成した定款のうつし(コピー)が必要となる。
定款を失くしてしまったという場合は、再作成してもいい。(設立時のように公証人による認証は必要ない。)
定款のコピーを提出する際の注意点は次の2つだ。
- 事業目的に古物商に関する記載はあるか?
- 原本証明が必要
1つずつ見ていこう。
古物商に関する記載が必要
定款にも事業目的があり、古物商に関する記載が必要となる。
履歴事項全部証明書と同様、「古物営業法に基づく古物商」や「中古車自動車の買い取りおよび販売」などの記載が必要だ。
法人は、定款の事業目的で定めた事業以外の事業はできないと法律で定められているので、その記載がなければ当然申請も受理されない。
事業目的追加の登記ができていなければ、基本的には登記をしてから申請をすることになる。
定款を変更するには、株主総会を開いて、それから目的追加の変更登記を法務局ですることになる。
履歴事項全部証明書に反映されるのは提出から10日程度かかることも少なくないので、早めに対応しておこう。
事業目的は申請後に追加してもいい?
時間がないという人は確認書を利用しよう。
確認書とは定款や履歴事項全部証明書の事業目的に「古物商に関する記載をこの後すぐに追加します!」といった約束事を文章にしたものだ。
この確認書を提出すれば、申請が受理された後に変更登記ができるようになる。
つまり、許可の取得後に変更登記をしても大丈夫ということだ。
注意したいのは、この確認書は事業目的追加の免除を求めるものではないので、手続きの審査期間中、もしくは、許可取得後に必ず事業目的を追加しよう。
※代表取締役の押印が必要です。
原本証明が必要
定款のコピーには必ず原本証明が必要となる。
原本証明とは原本のコピーであることを代表取締役が証明することをいう。
コピーの最後のページに以下のように朱書きで記載し、最後に代表者印を捺印しよう。
警察署によっては製本されたものが必要となるが、その場合は以下のように左端をホッチキスでとめよう。
また、ページとページの継ぎ目には「割印」を押すのが一般的だ。
法人の添付書類については以上だ。次からはいよいよ最後のヤマである申請書を記入していこう。