古物商が買い取りをするには相手方の身元を確認しなければなりません。

古物営業法の目的は主に盗難品が古物市場に流入するのを防ぐために設けられているので、この相手方の確認は古物商にとって非常に重要な義務となっています。

この確認義務の内容は複雑で、確認方法が何通りもあるので、「どれを選べばいいの?」とよく質問をよく受けます。

しかし、対面取引の確認方法から1つずつかみ砕いて理解していけば、決して難しいものではありません。

この記事では、古物商の対面取引の確認方法に焦点を絞って解説していますので、ぜひ参考にしてください。

※非対面取引での本人確認方法についてはこちらの5分で理解できる非対面取引の本人確認方法を解説で詳しく解説しています。

 

相手方の身分確認が必要なケース

前述のとおり、古物商は買取りをする際に相手方の身分確認をしなければなりません。

また、古物の交換(レンタルなど)や古物の売却または交換の委託を受ける場合も身分確認が必要です。

逆に自分の商品を売る場合や自分が売った物を、再度その相手から買い受ける場合は本人確認の必要はありません。

 

対面して買い取る際の確認方法

相手方と対面して買い取りをした場合の確認方法は主に3つあります。

1つずつ見ていきましょう。

相手方の住所、氏名、職業および年齢を確認する

これが最も一般的な確認方法です。

運転免許証や国民健康保険証等を提示してもらい、相手が本人であることを確認します。

もしくは相手方の親など身元が分かるものに問い合わせて確認をします。

ここで注意したいのは職業です。

「会社員」や「アルバイト」ではなく、会社名や屋号をきちんと確認してください。

 

相手方から住所、氏名、職業および年齢が記載された文書の交付を受ける

これは相手方の住所等が記載された文書に著名してもらう方法です。

この文書は住所等の必要な情報が記載されていれば、取引伝票などに著名してもらっても大丈夫です。

注意点としては、あらかじめ著名してある文書を交付してもらうのではなく、古物商の面前で著名してもらう点です。

またその際、不審な素ぶりを見せたり、記載されたものが正しくないとの疑いがあるときは、身分証明書等の提示を求めて確認するようにしなければなりません

※著名はボールペンや万年筆など改ざんできない筆記用具を使用する必要があります。

 

相手方から、印鑑登録証明書および登録された印鑑を押印した書面の送付を受ける

書面の書式は特に決まっていませんので、買取り申込書や印影以外に何も記載されていない白紙の書面でも大丈夫です。

ただし、併せて、相手方の住所等の申出は必ず受ける必要があります。

 

法人の場合は?

法人の身分確認も個人の場合と原則、同じですが、1つ注意点があります。

それは法人の身分確認の他に、取引をしている担当者の本人確認もしなければならない点です。

法人の取引担当者の住所、氏名、年齢、職業もしっかり確認しましょう。

なお、法人の確認証明書類は主に登記簿謄本や代表取締役の身分証明書等になります。

 

例外的に本人確認が不要なケース

買取価格が1万円未満の場合は、例外的に本人確認の必要がありません。

少額の買取品だと犯罪に利用される可能性が極めて低いので、取引の効率化を優先しているのでしょう。

ただし、ゲームソフトや自動二輪車およびその部品、書籍、CD、DVDの場合は1万円未満の場合でも、本人確認義務が課されます。

100円程度の書籍の買入れしかやっていない場合でも、未成年者が万引きしたものを買い受けてしまうことがよくあるからです。

まとめ

今回は対面して買い取る際の本人確認の方法を3つ紹介しました。

確実に身元が確認できるなら、この3つのどれを選択をしても大丈夫です。

また、これらの身元確認はただ機械的に行えばいいというものではないので、不審な点がないか、よく確認してください。

さらに古物商には、確認の際、相手の素振りや身分証明書などに不審な点があれば、買取りをやめて、警察に申告する義務があります。

本人確認や申告義務を怠ると処罰の対象になるので、手を抜かずにしっかり義務を果たすようにしてください。