廃品回収業を始めるにはいくつかの営業許可が必要になってきます。

古物商許可もその1つですが、廃品回収業を営むには必ず持っておきたい許可です。

しかし、廃品回収をしていると、中古品の引き取りだけではなく、廃棄物の運搬も依頼されることがあります。

ご自身の事業において、どの許可をどこまで取ればいいのか判断に迷う人もいると思います。

この記事では、古物商許可と廃棄物許可の必要性を詳しく解説しますので、ご自身の事業でどの許可が必要になるのか詳しく理解できます。

廃品回収業を行うには事業内容によって3つの許可が必要

廃品回収業は業態によって主に以下の3つの許可が必要になってきます。

  • 古物商許可
  • 一般廃棄物収集運搬業許可
  • 産業廃棄物収集運搬業許可

それでは1つずつ解説していきます。

古物商許可は必須

廃品回収業は主に不用品=中古品を買い取って、売却することで利益を得ます。

この中古品を買い取って、売却をするには古物商許可が必要になってきます。

また、古物商許可は比較的取りやすい営業許可で、廃品回収業を始めるにはまず古物商許可を取得することから始まります。

申請する際の費用は19000円です。

古物商許可の取得手順の全体像はこちらの古物商許可とは?|初心者でも3分で理解できる全体像で解説していますので、ご興味のある人は一読ください。

金属くず商許可とは?

通常、金属くずが有価物となる場合は古物商許可で取引しますが、以下の都道府県で金属くずを扱う場合、古物商許可ではなく金属くず商許可が必要になります。

北海道、茨城県、福井県、静岡県、長野県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県、島根県、岡山県、広島県、山口県、徳島県

 

※上記以外の都道府県の場合は、古物商許可のみで金属くずを有価物として取引できます。

申請にかかる費用は都道府県によってまちまちですが、だいたい1万円前後です。

古物商許可と違って、3年の有効期限が設けられているので、その都度更新が必要になります。

金属くずというのは、鉄くずやアルミくず、銅スクラップなどのことを指しますが、単に金属類が含まれる中古品を取引する場合には金属類に該当しません。

例えば、自動車部品には金属が含まれていますが、これをそのまま自動車部品として取引をする場合は、金属くずに該当しません。

あくまで、自動車部品を解体するなど、金属類のみに分離されたときに金属くずとなります。

 

一般廃棄物収集運搬業許可の取得はほぼ不可能

一般廃棄物収集運搬業許可は家具や家電など、一般家庭の廃棄物を処理費をもらって引き取る際に必要になります。

しかし、この許可は市町村が新規許可者を募集したときだけ許可申請できるものです。

基本的に、一般廃棄物の運搬は市町村が行うことになっていますので、手が足りないときなど、特殊はケースで募集することがほとんどですので、一般廃棄物収集運搬業許可を取得するのはなかなか難しいのが現実です。

一般人を相手に、廃品回収業を行う人は、主に不用品=中古品の買取りを行うことを業とし、廃棄物の処理は他の一般廃棄物収集運搬業者に委託することになります。

 

法人の廃棄物を運搬するには産業廃棄物収集運搬業許可が必要

企業から排出される廃棄物を主に産業廃棄物といいます。

この産業廃棄物を運搬するには産業廃棄物収集運搬業許可が必要になってきます。

例えば、会社のオフィス移転に伴って、廃品回収業を請け負う場合などです。

会社相手に定期的に事業を展開する場合には必須です。

産廃運搬許可は講習などを受ける必要がありますが、必要な要件さえ満たせば、誰でも取得できます。

申請に必要な費用はおよそ10万円です。

 

有価物と廃棄物の関係

廃棄物は廃棄物処理法という法律で規制されており、一方、有価物(市場的価値のあるもの)については古物営業法という法律で規制されています。

廃棄物処理法と古物営業法はご近所同士の法律ですので、廃棄物だと思っていたものが有価物にあたることもありますし、その逆も当然あり得ます。

例えば、金属くずなどは一見すると廃棄物に思えますが、リサイクル率が高く、利用価値が非常に高いので、有価物として取引されることが多いです。

しかし、市場状況によっては廃棄物とみなされることもあり、判断が難しいこともあります。

簡単に言えば、売れる物は有価物となり、売れない物は廃棄物となりますが、売れる物=有価物とは簡単に言い切れません。

通常、有価物の場合は、廃品回収業者がお金を払って、有価物を引き取り、引き渡す方は利益が残ります。

逆に廃棄物の場合は廃品回収業者がお金をもらって廃棄物を引き取ることになり、引き渡す方は費用負担をしなければなりません。

要は引き渡す方に利益が残れば、有価物となると言えることができます。

 

しかし、有価物でも引き渡す方が運送費を支払った結果、売却利益がなくなってしまい、費用負担をしてしまっているケースがあります。

これは有価性の低い製品の売買によく生じるのですが、引き渡す方が費用負担をしていると、廃棄物扱いとなります。

このように有価物か廃棄物かどうかの判断は非常に奥が深いので、運送費なども含めて総合的に判断する必要があります。

 

まとめ

廃品回収業を始めるには、まず古物商許可を取得し、家具を無料で回収したり、有価物として買い取って、売却利益を出すのが王道です。

しかし、お客さんは廃棄物も含めて1つの業者にまとめて回収して欲しいと思っているものです。

それは廃棄物のみを別の業者に依頼すれば余計な手間とお金がかかってしまうからです。

前述のとおり、産業廃棄物収集運搬業許可は要件さえ満たせば、誰でも取得できるので、法人がお客さんの場合は問題ありません。

問題はお客さんが一般人の場合です。

一般廃棄物収集運搬業許可の取得は極めて難しいので、一般家庭の廃棄物は許可を持っている他の業者に外注するのが現実的です。