古物商許可の取得にあたって営業所に関してはどのような基準があるのか気になるところですよね。

また、自宅やレンタルオフィスを営業所として検討している人もいるのではないでしょうか?

 

結論を言うと、古物商許可の営業所については細かい規定が定められていませんので、基本的な条件さえリアすれば自宅であっても営業所とすることはできます。

しかし、自宅やレンタルオフィスなどを営業所とする場合、この基本的な条件がクリアできずに許可の取得を断念することも少なくありません。

 

この記事では、営業所にできるケースとできないケース、そして、そのポイントを解説しています。

この記事を読めば、あなたの予定している物件が営業所とすることができるかどうか判断できます。

ぜひ最後まで読んでください。

営業所は必ず必要

古物商許可の申請書には営業所の「あり・なし」の項目欄があるので、「営業所はなくてもいいの?」と思われたかもしれません。

また、ネット売買の場合、お客さんの出入りがないので営業所を設けずに申請しようと考えている人もいるのかもしれません。

しかし、どのような販売形態であっても古物商許可を取得するには必ず営業所が必要です。

ここは誤解のあるところですが、営業所は必ず必要となります。

営業所に求められるものは?

営業所とするには次の2つの条件をクリアしなければなりません。

  • 営業所として使用する権限はあるか?
  • 営業所の独立性は確保されているか?

特に「営業所として使用する権限」については古物商許可の取得を断念する原因になることも多く、ここでとん挫してしまうことも少なくありません。

まずは、使用する権限があるかどうかここをしっかり見ていきましょう。

 

自己所有ではない場合

賃貸マンションや賃貸アパートを営業所として検討している人もいるかと思いますが、「使用する権限がある」ことを証明できれば賃貸物件でも営業所として認められます。

賃貸物件の場合、次の書類を提出することで所有者ではないけど営業所として「使用する権限がある」ということ証明します。

  • 賃貸借契約書
  • 使用承諾書

具体的に見ていきましょう。

賃貸物件は賃貸借契約書を確認

賃貸物件の場合は、まず賃貸借契約書の使用目的の欄を確認してください。

ここが「営業所」「事業用」となっていれば、営業所として使用する権限があります。

リサイクルショップや古本屋などの店舗物件の場合は、通常「営業所」や「事業用」となっているので問題ありません。

しかし、賃貸マンションや賃貸アパートでは使用目的が「住居用」となっていることがほとんどです。

当然、これでは営業所として使用する権限があるとは言えません。

そこで使用承諾書が必要となってくるのです。

 

使用承諾書が必要になる

賃貸借契約書の使用目的が「住居用」となっていれば、改めて大家さんや管理会社がら営業所として使用することを認めてもらわなければなりません。

そして、その使用を書面をもって承諾してもらう、つまり、使用承諾書という書類が必要となります。

これは、「住居用」だったものを「事業用」として認めてもらうために交渉をすることになりますが、物件によっては認められないということも少なくありません。

賃貸マンションやアパートを営業所とする場合、ここでドロップアウトしてしまうことがよくあります。

まずは大家さんや管理会社に確認を取ることから始めてください。

 

賃貸借契約書の契約期間に注意

賃貸借契約書の契約期間は切れていないことが必要です。

というのは、契約期限は通常、2、3年で設定されていることが多いですが、自動更新などの場合は改めて契約書が発行されないということも少なくないからです。

古い賃貸借契約書だけを見れば、契約期間が過ぎてしまっていることになるので、改めて大家さんや管理会社に契約書を発行してもらう必要があります。

 

賃借賃人名義と申請者は一致しているかどうか

契約書の賃借人名義と申請者は一致していなければなりません。

例えば、「申請者が賃貸人から直接借りていない」などの場合はそのままでは申請は受理されません。

このような場合も大家さんや管理会社から使用承諾書が必要となります。

 

公営住宅を営業所にできるの?

色々な事例を見てきましたが、公営住宅で古物所許可が取れたというケースはほとんど聞いたことがありません。

そもそも公営住宅は、低所得者に住居を安い賃料で提供するために税金を使って運営されています。

賃貸契約の使用目的は当然「住居専用」となっていますし、自治体と交渉して使用承諾書を貰うことになります。

一部例外もあるようですが、公営住宅の本来の使用目的を考えても自治体が承諾するということは考えにくいです。

 

自己所有の場合は?

自己所有の場合は、その建物が本当に本人のものなのかを証明する必要があります。

これは建物登記簿謄本を提出することで証明できます。

登記されていることによってその建物が本当に本人のものなのかを確認できるからです。

建物登記簿謄本は法務局で取得します。

また、「実家」、「親名議の物件」、「共同で所有している」というような場合は、親や共同所有者からの使用承諾書が必要となります。

マンションはハードルが高い

自己所有の場合は、営業所とするハードルはそれほど高くありませんが、これは一戸建てやアパートに限ります。

というのも、マンションの場合は非常にハードルが高くなってきます。

マンションの場合はそれが自己所有でも、管理組合が認めない場合が少なくないからです。

分譲マンションのような区分所有建物では、マンションで快適な生活が送れるように各マンションの実状に応じたルールが定められています。

このルールを「管理規約」といいます。

この「管理規約」に事業禁止というようなルールがあるとやはり営業所として使用するのは難しくなります。

この場合は管理組合と交渉して使用承諾書をもらわなければなりませんが、賃貸マンションと同様ここでドロップアウトしてしまうことも少なくありません。

 

営業所の独立性

古物商許可申請において営業所の構造上の条件は厳しくありません。

「これぐらいの広さが必要」、「このような設備が必要」というようなことも要求されません。

とは言っても最低限の独立性が求められます。独立性とは独立管理できる構造のことです。

この独立性を維持できないというのはレアなケースですが、レンタルオフィスを営業所とする場合にひっかかることがあります。

レンタルオフィスに注意

例えば1つのスペースを他社と共有し、パーティションで区切っただけのスペースで他社の事務所を通らなければ、自分の事務所にたどり着けない構造などの場合、独立性があるとは言えません。

また、バーチャルオフィスはどうでしょうか?バーチャルオフィスというのは実態のない架空の空間ですので、上記のことをふまえても営業所としては申請するのは無理があります。

他にも、同じ家で家族数人が古物商許可を取得して別々にネットショップを運営するような場合も独立性を保つのはやはり難しいでしょう。

 

まとめ

いかがでしたか?

古物商許可申請において営業所は許可が取れるかどうかを左右する最難関の壁です。

そのため、古物商許可を取る時はまず営業所を確保できるかどうかここを見極めなければなりません。

解説したとおり、マンションやアパート等の賃貸物件では、使用承諾書が必要となることで難易度は一気に高くなります。

また、持家でもマンションの場合は同様に使用承諾書が必要となることが少なくありません。

ただし、1つ注意したいのは、各警察署にはローカルルール(独自のルール)があって警察署によって審査方法が異なってくる点です。

この記事で解説しているのは、営業所の大まかな部分で共通しているところです。

そのため、極論を言えば、使用承諾書の提出が一切不要という警察署もあります。

なので許可の取得を思い立ったらなにはともあれ、管轄の警察署に確認をすることが必要です。