営業所(本店)の外で古物の取引をする場合は、「行商」となります。
行商をするには特別な資格はいりませんが、古物商許可の手続きの際に「行商をする」の内容で申請をしなければなりません。
行商にはいくつかのルールがあり、これは行商をするなら必ず知っておかなければならないものです。
この記事では行商の定義はもちろん、行商のルールまですべて詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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行商とは?
行商というのは、自分の営業所以外で売買などの取引行為をすることをいいます。
例えば、以下のような取引行為です。
- 路上や空き地、公園等での露店や仮設の店舗を出す
- 中古車などの訪問セールス、中古車オークションに出品する
- 骨董市やデパートの催事場での売買
- 取引の相手方の住居に赴いての取引
- 古物市場で取引をする
逆に言えば、「行商をする」という内容で許可申請をしなければ、自分の営業所以外では古物の取引が一切できないとういうことになってしまいます。
行商の買取制限
行商の出張エリアは特に制限されていませんので、行商は営業所のある都道府県外でも行うことができます。
全国どこでもできるものの、古物の買い取りに関しては自分の営業所か取引相手の住所・居所でしなければなりません。
つまり、売ることについては、場所の制限がありませんが、買い取りに関してはこのような制限が設けられています。
2018年古物営業法の改正により、届け出をすることによってデパートの催事場などの仮設店舗でも買取ができるようになりました。
この仮設店舗はもちろん全国どこでも設置可能です。
古物商間では買取の制限はなし
行商の買い取りの制限は、古物商間では適用されません。
つまり、古物商同士 = プロ同士であれば、どこで古物を買い取ってもいいということです。
相手の住所・居所や自分の営業所でなくても大丈夫です。
どうして買取の場所が制限されているの?
古物営業法は「盗難品の売買防止」と「その盗難品の早期発見」を目的に設けられました。
そのため、許可を取得すると、取引時には「相手方の確認」や「帳簿への記録」などいくつかの義務が課されます。
この確認と記録がおろそかにならないように買取は営業所または取引相手の住所・居所に限定されています。
自分の店舗での販売が行商になる??
前述のとおり、営業所は「売ること」だけでなく、「買い取ること」もできます。
では、買取り(仕入れ)は本店のみで行い、他の店舗(支店)では販売のみを行う(仕入れは行わない)という場合はどうでしょうか?
この場合の店舗(支店)は、営業所には該当しません。営業所の定義は、「買取」と「販売」両方行うという考え方に基づいているからです。
この場合は、本店(営業所)が、他店舗(支店)に行商をしているということになります。
行商をするにはどんな手続きが必要?
行商をするには申請書にある「行商をする・しない」の項目で「する」の方に〇をつけるだけでOKです。
「行商をする」にしたからといって、審査が厳しくなったり、手数料が高くなるといったことはありません。
また、許可取得後も特別に義務が課されるということもないので、よほどのことがなければ、多くの人が行商をするという内容で申請をしています。
「行商をしない」で許可を受けている場合は?
すでに「行商をしない」で許可を受けていても、変更の届出をすれば、行商をすることができます。
許可証には「行商をしない」と記載されているので、変更の届出と同時に許可証の書き換え申請をすることになります。
手続きは、許可の手続きをした警察署(経由警察署)にします。
費用は1500円かかりますが、変更届出書と書換申請書を記入して提出するだけ大丈夫です。
許可証・行商従業者証の提示
古物商が行商をする場合は古物商の許可証を携帯しなければなりません。
これはコピー等ではダメですので、注意しましょう。
また、従業員が行商を行う場合は許可証の代わりに行商従業者証を携帯しなければなりません。
この許可証と行商授業者証は、取引相手から提示を求められたら必ず提示する義務があります。
行商従業者証はどうやって用意するの?
この行商従業者証は自分で作成してもいいですし、他から入手しても構いませんが、様式が定められています。
様式の備考
1、材質は、プラスティックまたはこれと同程度以上の耐久性が必要です。
2、「氏名」および「生年月日」蘭には、行商をする代理人等の氏名および生年月日を記載します。
3、「写真」蘭には、行商をする代理人等の写真(縦2.5cm以上、横2.0センチメートル以上のもの)をはり付けます。
まとめ
いかがでしたか?
行商とは、「売る」場合には制限がありませんが、「買う」場合に場所が制限されるということをお話しました。
買取る場合は
- 自分の営業所
- 取引相手の住所・居所
に限定されるということでした。
また、2018年の古物営業法の改正により届け出をすることによって仮設店舗でも買取ができるようになりました。
多少の制限はあるものの、行商は古物商にとってメリットを享受できることばかりです。
特に商品を安く仕入れることができ、在庫処分にも使える古物市場へ参加できるようになることは非常に大きな魅力です。
これからビジネスを大きく展開していくならぜひ「行商をする」の内容で許可の申請をしましょう。