この記事を読んでいる人は、会社を設立してから古物商許可の取得を考えているものの、設立の手順が分からず立ち往生してしまっているのではないでしょうか?
会社設立に必要な手続きをシンプルに説明すると、必要な手続きは2つだけです。
それは、法務局で行う設立登記申請と公証役場で行う定款の認証です。
しかし、この2つの手続きを行うには、あらかじめ内部で決めておかなければならない事項がたくさんあります。
この記事では、この内部の決定事項を中心に、会社設立の大まかな流れとポイントを解説していますので、ぜひ参考にしてください。
Contents
会社の設立に必要な内部の決定事項
前述のとおり、会社の設立に必要な登記申請や定款の作成をする前に、内部で決めておくべき事項が多数あります。
具体的な事項は以下のとおりです。
会社名(商号)を決める
会社名は好きにつけたらいいというものではなく、取引先や顧客への印象等も考慮します。
会社名で使える文字は「ひらがな」「漢字」「ローマ字」が基本ですが、ローマ字や符号も使うことができます。
使用可できるローマ字や符号については以下の法務省のサイトを参照してください。
また、同じ地域やネット上で同じ名前が使われていないか調べておきます。
本店所在地を決める
本店所在地は会社の住所になります。
この本店所在地は自宅でもいいのですが、古物商の場合、賃貸契約書の使用目的が「居住専用」となっていると許可申請ができないことがほとんどです。
この場合、その物件の所有者や管理会社からの使用承諾書が必要になってくるので、使用承諾書がもらえるのかどうかしっかり確認してください。
使用承諾書についてはこちらの古物商許可|使用承諾書で絶対に気をつけたいポイントで詳しく解説していますので、ご興味のある人は一読ください。
事業目的を決める
これは定款に記載する項目ですが、登記簿にも掲載されます。
登記簿は誰でも見ることができますので、具体性と整合性が取れているようにします。
例えば、事業目的を多く記載し過ぎると、融資先の金融機関や取引先が見た場合、「何をやっているのか良く分からない」といった印象をもたれるので、注意が必要です。
資本金を決める
2006年5月から施行された「新会社法」によって、1000万円という最低資本金制度が撤廃されました。
資本金は1円から自由に設定することができますが、一般的に言うと、最初の資本金は100~500万円あたりで設定していることが多いです。
役員を決める
役員とは会社の経営者のことで、代表取締役・取締役・監査役・会計参与などを指します。
もちろん、1人で会社を設立して、代表取締役1人という構成でも可能ですが、何かと経験不足・能力不足が否めない場合は、経営者自らの不足分を補ってくれる役員構成にするのも1つの手です。
発起人について
発起人とは、簡単に言えば、会社の設立を計画しているあなた自身のことです。
発起人は資本金となる出資金を払い込むことで、株主となります。
もちろん、発起人は複数名でも構いません。
会社の資本金を発起人1名で出資するのが難しければ、資金のある人に発起人として参加してもらい、各自が分担して出資することも可能です。
事業年度を決める
事業年度というのは、言い換えると、会社の決算期を決めるということです。
一般的に決算期は3月というイメージがありますが、特に3月でなければいけないという決まりはありませんので、自由に決めても構いません。
会社の印鑑について
会社に必要な印鑑は主に次の4つです。
- 代表者印
- 会社印
- 銀行印
- ゴム印(住所や連絡先が記載されているもの)
※代表者印は、設立登記の際、法務局で登録する必要があります。
印鑑証明書
登記申請と定款の認証の際に、発起人・役員の印鑑証明書が必要になります。
提出日から3か月以内に発行されたものでなければなりません。
定款の作成と認証
定款には会社の基本的な規則が書かれており、会社の憲法と呼ばれています。
主に前述した内容が反映されることになります。
作成した定款は公証人役場で認証してもらう必要があります。
これは定款の内容に不備がないかどうかチェックしてもらう作業で、少しでも不備があれば、修正を指示されます。
定款は2部必要で、1つは会社保管用で、もう一つは法務局提出用です。
定款の認証を受ける前に、開業予定地の管轄警察署に、古物商許可申請をする上で、定款の内容(特に事業目的)に問題がないかチェックしてもらいましょう。
定款を作成しても、許可申請の際に受け付けてもらえないと、元も子もありません。定款の変更の手続きは大変手間がかかります。
※定款の事業目的についてはこちらの古物商許可|定款のかゆいところを分かりやすく解説!で詳しく解説しています。
出資の履行
定款の認証が終わると、次は出資の履行へと移ります。
出資の履行とは、要は資本金の全額を払い込むことです。
この払い込みをする預金通帳の名義人は発起人代表のものです。
登記をする際は、法務局に出資金の「払い込みがあったことを証する書面」を提出しますが、これは発起人代表の預金通帳のコピーでも構いません。
最後に
最後に、会社設立登記申請書を作成して登記申請しますが、法務局の審査は1週間から2週間程度です。
会社の設立日は登記申請を行った日に設定されますので、思いれのある日を設立日にしたい人はあらかじめスケジュールを調整しておいてください。
審査完了後、古物商許可申請で必要になる履歴事項全部証明書や定款のうつしなどを用意します。
また、会社設立にかかる法定費用はおよそ24万円かかりますので、後で慌てることのないようにしっかり確保しておいてください。