古物商許可申請において身分証明書とは運転免許証や保険証のことではありません。

ここでいう身分証明書とは市町村の長の証明書のことです。

普段なかなかお目にかかれないので、何のことかさっぱり分からないという人も多いと思います。

  • 免許証じゃだめなの?
  • どこで入手するの?
  • 成年被後見人や被保佐人といえば、登記事項証明書じゃないの?
  • そもそも禁治者って?

この記事を読んでいる人はおよそこのような疑問があるのではないでしょうか?

この記事ではこのような疑問に答え、入手方法から難しい語句の意味、登記事項証明書との関係まで詳しく解説するのでぜひ参考にしてください。

市町村の長の証明書とは?

前述のとおり身分証明証とは市町村の長の証明書のことです。

この証明書は以下の3つのことを証明します。

  1. 成年被後見人や被保佐人に該当していない
  2. 禁治産者、準禁治産者に該当していない
  3. 破産者で復権を得ないものに該当していない

身分証明書は本籍地のある市役所で発行してもらいます。

申請する時の注意点として、本籍地の他に戸籍の筆頭者を申し出て申請しなければなりません。

これらの情報は住民票にすべて記載されていますので、本籍地や戸籍の筆頭者が分からないという人は先に住民票を取り寄せましょう。

また、ご自身の住所と本籍地の住所が同じだといいのですが、本籍地が遠く離れている場合は郵送で請求しましょう。

郵送での請求方法

  • 申請書(市区町村役場のサイトからダウンロードします。)
  • 返信用封筒(切手つき)
  • 手数料分の定額小為替(1枚100円で郵便局にて購入できます。)
  • 本人確認書類のコピー(運転免許証、保険証のコピー)
  • 委任状(代理人が請求する場合)

 

※戸籍の筆頭者とは戸籍の一番最初に記載されている人のことです。

通常、結婚をしていれば、名字を変えなかった方(ほとんどが男性)が筆頭者として記載されています。

未婚の場合は、ほとんどが両親かご自身になっていると思います。

破産者の旨を記載しない役所もあります。
申請をするときは上記3つを必ず記載してもらうようにしてください。
あらかじめ古物商許可を申請する旨を伝えておきましょう。

禁治産者と準禁治産者とは?

禁治産者、準禁治産者とは認知症、知的障害、精神障害などが原因で判断能力が不十分になり、家庭裁判所から禁治産宣告を言い渡された人のことです。

禁治産及び準禁治産の制度は戸籍に記載されるなど差別的であるとの理由から廃止され、代わりに現在の成年後見登記制度が開始されました。

禁治産者・準禁治産者という言葉は現在使われていません。

若干の定義の違いはありますが、禁治産者=成年被後見人、準禁治産者=保佐人と呼び名が変わったと理解しても問題ありません。

※成年被後見人=精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者として、後見開始の審判を受けた者。

※被保佐人=精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者として、保佐開始の審判を受けた者。

市町村の長の証明書と登記事項証明書の関係

ここで一つ疑問が生じると思います。

以前は禁治産宣告を受けた人はその旨が戸籍のほうに記載されていました。

しかし、平成12年4月1日に成年後見登記制度が開始され、後見等開始の審判がされるとその旨が登記されるようになりました。

「登記されていないかどうかは登記事項証明書だけで証明できるんじゃないの?」と思う人もいるかと思います。

しかし、その旨が登記されるのは成年後見登記制度が開始された平成12年4月1日以降に後見等開始の審判を受けた人です。

平成12年4月1日以前に禁治産宣告を受けた人は戸籍に記載されても自分で申請を行わない限り登記はされません。

もちろん禁治産宣告を受けた人も古物商許可の欠格事由に該当していまいます。

要は平成12年4月1日以前に禁治産宣告を受けていないかを調べるために必要だということです。

また、破産者で復権を得ないものに該当しないかどうかは市町村の長の証明書で証明するしかないので、結論としてはどのみち必要な書類ということになりますね。

※外国人の方は市町村の長の証明書は必要ありません。